第一精工が社名変更した真相と現在|I-PEXの業績・評判や釣具との違いを徹底解剖
かつて「第一精工」の名で日本の精密電子部品業界を牽引した名門企業が、2020年8月に「株式会社I-PEX」へと社名を変更してから数年が経過しました。投資家や就職活動中のエンジニアの間では、「なぜ長年親しまれた社名を変えたのか」「現在の業績や株価、年収はどうなっているのか」といった疑問が今なお絶えません。
さらにネット検索上では、アングラーにおなじみの釣具メーカー「王様印の第一精工」と混同されるケースも頻発しています。この記事では、元第一精工であるI-PEXの改称理由から最新の業績・平均年収・採用評判、そして釣具の第一精工との決定的な違いまで、一次情報と現場のデータをもとに分かりやすく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:電子部品大手の第一精工は、グローバルブランドの統一を目的に2020年8月「株式会社I-PEX」へ社名変更した。
- 要点2:フィッシング用品(高速リサイクラー等)で名高い「王様印 第一精工」は完全な別会社(同名異社)である。
- 要点3:現在のI-PEXは超小型コネクタと車載部品を主軸に、平均年収約600万円台半ば・海外展開を強みに堅調な推移を見せている。
【社名変更の真相】第一精工が「I-PEX」へ改称した3つの理由
第一精工株式会社が2020年8月1日付で「株式会社I-PEX」に商号変更した背景には、グローバル市場における事業構造の抜本的な再編がありました。同社が公式リリースや決算説明会で明かした理由は、大きく分けて3点あります。
1つ目は、グローバルブランドの完全統合です。同社は従来から、コネクタ製品のブランドとして「I-PEX(アイペックス)」を展開しており、海外の顧客企業(スマートフォンやノートPC、サーバーメーカーなど)の間では「第一精工」よりも「I-PEX」の認知度が圧倒的に高い状態でした。企業名と製品ブランド名を一本化することで、海外市場での認知ロスを解消する狙いがありました。
2つ目は、グループ各社のアイデンティティ統一です。同社グループには金型製造、成形、組立などを担う複数子会社が国内外に点在していましたが、これらをすべて「I-PEX」ブランドに集約し、グループ全体の経営効率と組織エンゲージメントを高める狙いがありました。
3つ目は、「精密金型屋」からの脱却と次世代ソリューション企業への進化です。創業時の金型製作・プラスチック成形技術をコアにしつつも、超高速伝送対応コネクタや車載用センサー、AIサーバー向け部品といった高付加価値ソリューションを世界へ提示するためのブランディング戦略でした。

一般に知られていない盲点|「釣具の第一精工」と「電子部品のI-PEX」は完全な別企業
検索エンジンで「第一精工」と調べた際に最も多い誤解が、釣具メーカーの第一精工と電子部品メーカーの第一精工(現I-PEX)を同一企業だと勘違いするケースです。現場取材や企業登記データを照らし合わせると、この2社は資本関係もルーツも異なるまったくの別会社であることが分かります。
アングラーの間で「高速リサイクラー」や「ラーク竿受」などで知られるのは、大阪府東大阪市に本社を置く釣具メーカーの第一精工株式会社(王様印)です。独創的なアイデアと高い耐久性を誇るフィッシングギアを専門に開発しており、釣り業界で絶大な支持を集めています。
一方、東証プライムに上場し、京都府京都市伏見区に本社を置くのが旧第一精工(現・株式会社I-PEX)です。こちらはスマートフォン、ノートPC、自動車、産業機器などに組み込まれる極細同軸コネクタや精密電子部品のグローバルサプライヤーです。
| 比較項目 | 株式会社I-PEX(旧・第一精工) | 第一精工株式会社(王様印) | 編集部の見解・判別ポイント |
|---|---|---|---|
| 主力事業 | 超小型コネクタ、車載電装部品、半導体設備 | 釣具・フィッシング用品の開発・製造・販売 | 電子部品かアウトドア・釣具かで明確に分類 |
| 代表製品 | CABLINE®シリーズ、MINIFLEX® | 高速リサイクラー2.0、ラーク竿受、オートキングギャフ | 「王様印」ロゴが付いている製品は釣具の第一精工 |
| 本社所在地 | 京都府京都市伏見区 | 大阪府東大阪市 | 京都と東大阪で完全に拠点が分かれている |
| 上場区分 | 東証プライム(証券コード:6640) | 非上場 | 株式市場で取引されるのはI-PEXのみ |
【最新データ】I-PEX(旧第一精工)の現在の業績と株価動向
I-PEXの公式IR資料および有価証券報告書によると、同社の業績は「民生用機器(PC・スマホ)」から「車載電装部品・産業機器・データセンター市場」へのシフトにより再成長の軌道を描いています。
かつてはノートパソコンやタブレット市場の需要サイクルに業績が左右されやすい側面がありましたが、近年はEV(電気自動車)の普及やADAS(先進運転支援システム)の高度化に伴い、車載向けコネクタやセンサー部品の売上構成比が大きく上昇しました。さらに、高速大容量通信が求められるAIサーバーや5G基地局向けの超高速伝送コネクタ「CABLINE®」シリーズの引き合いが強く、高収益体質への転換が進んでいます。
株式市場における評価(株価動向)を見ても、エレクトロニクス業界全体の在庫調整局面を乗り越え、資本効率の改善や配当性向の意識を高めたことで、底堅い値動きを維持しています。機関投資家からは「金型設計から組立までを一貫して内製化できる高い技術的参入障壁」が高く評価されています。

【実態検証】社員の生の声と採用現場から見えた「年収・労働環境・評判」
就職・転職市場において、旧第一精工(I-PEX)の評判や待遇はどう評価されているのでしょうか。大手転職プラットフォームの社員口コミ(OpenWork、ライトハウス等)や有価証券報告書の開示データをもとに、現場の実態を検証しました。
I-PEXの平均年間給与(平均年収)は、有価証券報告書の最新開示で約600万〜650万円前後(平均年齢約42歳)を推移しています。日本の製造業全体の平均年収(約530万円水準)と比較しても高水準に位置しており、技術職の主任・係長クラスになると年収700万〜800万円台に到達するモデルが一般的です。
現場社員の生の声からは、次のような特徴が浮かび上がります。
- 良い評判:「金型加工や微細成形の技術力は世界トップレベルであり、エンジニアとして妥協のないものづくりを学べる」「海外拠点(アジア・欧米)との連携が多く、若手でもグローバルプロジェクトに参画できるチャンスがある」「有給休暇の取得推進や残業管理が徹底されており、コンプライアンス意識が高い」。
- 留意すべき評判:「部署によっては客先(大手ITベンダーや自動車部品メーカー)の納期短縮プレッシャーを直接受ける」「評価制度において年功序列的な空気感が一部残っており、成果主義への完全移行には過渡期を感じる」。
福利厚生面では住宅手当や財形貯蓄、社員食堂の整備などが充実しており、腰を据えて長期的なキャリアを築きたいエンジニアから堅実な支持を集めています。
【プロの結論】I-PEXをおすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
業界構造と職場環境を総合的に分析した結果、I-PEX(旧第一精工)への就職・転職や投資を検討する際の判断基準は次の通りです。
【向いている人・おすすめできる人】
・ミクロン単位の超精密金型や微細接合など、極限の「ものづくり技術」に情熱を持てる技術者
・海外売上比率の高い環境で、英語や異文化コミュニケーションを活かしたい人
・プライム上場企業の安定した基盤と福利厚生のもとでワークライフバランスを重視したい人
【慎重に検討すべき人】
・数年で急激な役職アップやインセンティブによる爆発的な昇給を望む超成果主義タイプ
・釣具製品の開発に関わりたい人(※前述の通り、釣具は別会社「東大阪の第一精工」のため完全なミスマッチになります)
【第一精工】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:第一精工の社名はいつ、なぜI-PEXに変わったのですか?
A1:2020年8月1日に「株式会社I-PEX」へ変更されました。海外市場で知名度が高かった製品ブランド「I-PEX」と企業名を統一し、グローバル市場での競争力強化とグループ企業の一体化を図るためです。
Q2:釣具の「高速リサイクラー」を作っている第一精工もI-PEXになったのですか?
A2:いいえ、変わっていません。釣具メーカーの第一精工株式会社(大阪府東大阪市)は、電子部品メーカーのI-PEX(旧第一精工、京都市)とは完全に別の非上場企業です。現在も「第一精工」の名前で釣具製品を製造・販売しています。
Q3:I-PEXの平均年収は業界内で高いほうですか?
A3:有価証券報告書によると平均年収は約600万〜650万円で、国内の製造業平均を上回っています。精密金型や超小型コネクタという高付加価値分野に強みを持つため、安定した処遇水準が維持されています。

まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
旧第一精工から「株式会社I-PEX」への社名変更は、単なる名称の刷新ではなく、世界市場で戦うグローバル精密電子部品メーカーとしての覚悟を示す構造改革でした。スマートフォン市場の成熟を経て、現在は車載電装やAI・データセンター向け超高速伝送コネクタという新たな成長領域で強固なポジションを確立しています。
リサーチや就職活動、あるいはフィッシング用品の購入時には、「精密コネクタ・電子部品のI-PEX(旧第一精工)」と「王様印の釣具メーカー第一精工」が同名異社である点を正しく見極めることが大切です。確かな技術力とグローバル展開を武器にするI-PEXの今後の躍進に、引き続き注目が集まります。 (出典: 第 一 精工(Yahoo!ニュース))